音読サークル〈玲瓏りんろん〉のイベント「音読お茶会」を開催しました。
毎月開催しているこのイベント、今回はちょっと趣向の変わった特別回です。
ベトナム語「も」楽しむ
第46回中国語の音とリズムを楽しむオンライン音読お茶会
[日時]2022年8月6日10:00-11:30
[当日参加者]12人
【音読コーナー】
音読者さんにそれぞれ中国語とのかかわりをうかがってか音読していただきました。
そしていつもと違って音読の直後に、わたくし井田からの発音コメントをお伝えしました。
みなさんそれぞれにもっている長所と、「ここを変えたら発音の印象が格上げできるよ」というポイントをお話しするようにしています。
推薦原稿(1):“声母诗”《采桑歌》(子音の詩:桑を摘む歌)
推薦原稿(2):“韵母诗”《捕鱼歌》(母音の詩:魚を捕る歌)
この二つの詩は、中国語普通話の子音がすべて使われるように、母音がすべて使われるように、と工夫された詩です。
音節の発音指導をするのにちょうどいいと思って選びました。
この二つの詩を解説したブログ記事がこちらです。
わたしの音読も置いてあります。 ↓
推薦原稿(3):孟浩然「春暁」
日本人にお馴染みの漢詩トップではないでしょうか。
中学校の教科書にも載っている春暁。
少ない字数でイメージの広がる叙述ができる漢詩の醍醐味が味わえる作品です。
ネイティブさんによる音読・朗読はネットにたくさんありますが、なかでも日本の中国語学習者に大人気の李軼倫先生の動画があります。
しかもめずらしいことに、朗々と読み上げるタイプの朗読ではなく、明瞭に発音してくださる淡白な音読です。
お顔の映像付きなので発音の参考になりますよ。ぜひご覧ください。
//www.youtube.com/embed/4bE2pP3cLIA
【自己紹介コーナー】
さてさて、今回の参加者さんは、主催のわたし以外は、みなさん何らかの形でベトナムやベトナム人、ベトナム語についての関わり、興味関心のある方々でした。
今回の後半はベトナム語コーナーということで、ここで、みなさんがベトナム語とどのような関わりを持っていらっしゃるのかお話をうかがいました。
技能実習生のベトナム人に日本語を教える、近所にベトナム人が住んでいた、毎週の集会でベトナム人と会える、仕事の取引先がベトナム、などなど、日本の日常生活のいろいろな場面でベトナムとの出会いがあるものなのだということを学びました。
直接に継続した関わりがなくても、漢語由来の語彙に興味を持った方、難しいと言われている発音に興味を持ったという方もいらっしゃいました。
文字がとっつきにくいと思い、まったくこれまでアンテナを張っていなかったわたしも、とても興味が高まりました。
なにしろ千年ものあいだ中国歴代王朝の一領域だったベトナム。
中国語をやっている者には親和性が高いかもしれません。
【ベトナム語コーナー】
そんな参加者の皆さんが待ちに待っていたのが、『超実践的ベトナム語』シリーズの著者、富山篤先生のお話です。
富山先生からは、わたしのような初心者にも分かりやすいようスライドを用意してお話をいただきました。
「ベトナムとは」「ベトナム語とは」から話を起こし、ベトナム語の発音についてよくある誤解、ベトナム語の学習方法について無理な進め方と効果的な進め方の違いなど、事前に募っていた質問へのお答えも織り交ぜながらのお話。
そしてベトナムの歴史的地政学的特性による言葉と経済の関係などエコノミストらしい視点からのお話など、短い時間ながら多岐にわたる話題をご提供くださいました。
ぜひまた機会を改めてお話をうかがいたいと思った方も多かったことと思います。
【感想】
中国語にもベトナム語にも取り組んでいるという人がこんなに大勢いるとは、というのが富山先生やわたしの率直な感想でした。
ベトナム語を始めたきっかけが「日本に、そして自県に多数滞在しているベトナム人技能実習生に感謝の気持ちを伝えたいからだった」という方もいらっしゃいました。
富山先生からはベトナムが東南アジア随一の外国直接投資(FDI)を受け入れるに至った背景などもうかがいました。
わたしは仕事と家事の両輪で一目散に走っていますので、中国語の発音について近視眼的に集中してきました。
今回こうして広がりのある知識、考え方に触れることができて、意識変革が起きたといっても過言ではありません。
きっかけを作ってくださった富山先生、参加してくださった皆さんのおかげで、身近な人たちの顔を思い浮かべながら東南アジアにアンテナを伸ばすことができそうです。
【次回のお茶会は……】
次は、9月17日(土)にお茶会を開きます!